防水工事の基本的な仕組みと防水工事の必要性
水による建物の劣化を防ぐために、防水工事は非常に大切です。
特に日本は雨が多く湿度も高いため、より長く建物の劣化を食い止めるには防水が必要です。
水による建物の劣化としては主に
- 木材:木材の腐敗、断熱材の腐食、臭気の発生
- コンクリート:中性化や塩害、凍害によるコンクリートの剥がれやひび割れ
- 鉄骨・鉄筋:外壁の剥がれやひび割れの結果として引き起こされる、鉄骨、鉄筋の錆
が挙げられます。
木材やコンクリートの劣化が、鉄骨、鉄筋の錆による構造物の劣化につながります。
このような状態が発生すると建物の耐久性が落ち、構造的に危険な状態になったり、資産価値が落ちることにつながります。
雨にさらされる建物は特に防水工事が重要です。
各工事の特徴と説明
塗膜防水(ウレタン)
液状の塗料を塗布するため、継ぎ目のないシームレスな防水層を作ることが可能で、複雑な形状でも比較的容易に防水層を形成することができます。
継ぎ目から水が浸入するリスクがなく仕上がりがきれいで、仕上げ面も平滑にできます。仕上げの色のバリエーションも豊富です。
主に人の手で塗布するため、経験豊富な職人でないと均一な防水層の厚みが確保できず、塗布する場所によってばらつきが出る場合があります。
溶剤系の臭気の発生や、硬化まで時間がかかるため、ある程度の工期の確保が必要です。
施工部位
屋根・ベランダ・バルコニー・開放廊下・急勾配屋根など
水性塗膜防水(ポリマーセメント系)
施工の際に火気や有機溶剤を使用しない環境に配慮した防水材で、作業者、作業周囲の安全性がはかられています。
施工部位
中規模建築物の屋根・ベランダ・バルコニー・開放廊下・急勾配屋根・サッシ周りなどの屋内。浴室・厨房・トイレ・OAフロア・トレンチピットなどの屋内。 水槽類・地下地下外壁、内壁・などに使用されています。
FRP防水
強度が高く、軽量で耐久性に優れたガラス繊維強化プラスチックの使用による防水そうを形成する工法です。耐水性、耐摩耗性、耐久性に優れています。
硬化待ちの時間が短いため比較的工期も短いです。
材料の特性上、強い臭気が発生するため、施工の際、住民や近隣への配慮が必要です。
施工部位
バルコニー・浴室・受水槽・プール・屋上駐車場など
シート防水
下地に密着させる工法や、固定用ディスクを使用した機械的固定工法があります。
既存防水層を撤去せずに被せて施工することも可能なため、コストの低減や工期の短縮が可能です。
シート状の防水材ですが、耐久性があり、美感性も優れています。近年、特にビルやマンション屋上などで需要が伸びています。
耐久性も、引っ張り強さや伸び特性が大きく、下地追従性があるため、様々な下地への適用があります。
比較的複雑な形状でも対応可能な場合が多いです。
下地に直接貼り付ける工法や、固定用ディスクを使用した機械的固定工法があります。
仕上げの色のバリエーションも豊富です。
溶融釜でアスファルトを溶かし、ルーフィングを敷き込みアスファルトを積層させて防水層を形成させるため、失敗が少なく、防水性の高い信頼性と実績があります。
工法上臭いや煙が発生するので近隣への配慮の検討が必要です。
バーナーを使用しない常温自着工法とバーナー(火)を使用するトーチ工法があります。
熔解釜を使用せず施工性に優れており、臭いや臭気がないので近隣への影響がありません。
既存が同じアスファルト工法への改修工事としてよく行われています。
熱や火を使わない工法で、シートの裏面が自着層になっており、下地処理した上に貼り付けていきます。
こんな現象が見られたら防水工事を行う目安
屋上の場合
- 雨漏りがする
- 常に湿っている部分がある
- 雑草が生えている(屋上など)
- 床、壁にひび割れがある
- 排水が悪い
- 既存防水層が膨らんでいる。防水層内部に水が溜まっている。
- 防水工事を行ってから10年は経過している→点検をおすすめします。
- 既存防水層の膨れや変形、ジョイント部の剥がれ膨れ
- 立上り部の浮き
- 立上り部金物と取合に隙間がある。
外壁材の場合
- 外壁(コンクリート及びモルタル)のひび割れ
- 塗装材の剥離
- 鉄部の腐食(サビ)
- シーリングの劣化(チョーキング、白化現象の発生)
- 外壁の著しい汚れ
- 15年以上経過している